ささやか:イレギュラーが詰まった日

皆んなは後輩に目潰しされたことがあるだろうか。ぼくはある。冷感スプレーを、至近距離で思い切り。本当に心の底から死んでしまえと思ったし、中学卒業後、そいつには会いたくなかったから連絡先を消した。他の面々も消した。

そんな彼と、ぼくがボーカル練習に出向いた先で会った。どうやらそこでバイトしていたらしいが、よくもあんな軽々しく声をかけられたものだ。

「先輩!覚えてます?」

そりゃあ、目潰しした相手は忘れないだろうよ。頼むから地獄に落ちてほしい。もうあそこには行かない。

これだけでもささやかなイレギュラーだったけれど、ぼくが「レザボア・ドッグス」鑑賞中、まるで呼応したように連絡をくれたのが高校の時の担任。お世話になった先生とちょっとした報告を交わした後、先生の手がけるMVの演者に抜擢された。

元々ぼくはMV制作のアーティスト側にいたが、バンド内で揉めたから弾かれた。代わりに別の同期がバンドのボーカルに入ったのだけれど、その子もその子で親と一悶着あったらしく、メンタル面に支障が出て抜けたとか。呪いかもしれない。今は新しいメンバーに引き換えたらしい。

ぼくは彼らと会わないことを条件に引き受けた。少し迷惑はかかるかもしれないけど、自分たちがクビにしたメンバーが演者で出ているのを見る彼らを想像すると、ちょっと面白い。

最後は、同期の子とちょっとした相談として2時間ほど電話していた。19歳は色々あるもので、頼れる誰かの手は必要だ。まあ、雑談の割合は高かったけど。

ごった煮の日曜日。なんだか休みだった気がしないのだが、たまには良いってことで。